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iPS細胞とES細胞の活用で赤血球前駆細胞の大量製造が可能に

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ヒトのiPS細胞(人口多能性細胞)と、ES細胞(胚性肝細胞)から赤血球のもととなる前駆細胞を大量に製造する技術が開発されました。

新たな製造技術を開発したのは、京都大学iPS細胞研究所所属の江藤教授(肝細胞生物学)らの研究グループです。

京都大学iPS細胞研究所では、今年度から、健康な人の血液から他人に移植しても拒絶反応を起こしにくい特殊な免疫型を持つiPS細胞を作りためておく「iPSストック計画」が進められていました。

今回の開発に至るまでの実験では、ヒトのiPS細胞とES細胞を使ってほぼ無限に増殖させることに成功した未成熟な赤血球の細胞にある特定の遺伝子2種類(「c—MYC」と「BCL—XL」)を入れることで前駆細胞を作り出し、それを培養した上で、貧血状態のマウスに注入しました。
その結果、前駆細胞の一部が赤血球として循環したことを確認できたのです。
また、これらの前駆細胞はほぼ無限に増殖し、約3ヶ月で100億〜1000億倍に増えることもわかっています。

この実験結果は12月5日に発表され、6日付けの科学誌「ステムセム・リポーツ」に掲載されました。

今回の実験で前駆細胞が赤血球に変化した割合は1%以下であったため、今後は、最終段階の赤血球まで安定して分化させるべく技術の改良を進めていくことにしています。

さらに、ゲノム変異解析や動物を用いた安全検査などの研究が進んでいけば、輸血用の血液不足解消につながることが期待されています。

2014年度中には、日本人の20%に対応可能な前駆細胞を用意し、研究機関などへの提供を始める見通しとなっており、2022年度末までには、日本人の80%-90%分の輸血用血液をカバーしていくことにしています。

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