(更新日:2013年4月8日)
中国国内では、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染リスクが高まり、死者を含む感染者が複数名確認されています。
こうした中、国立感染症研究所が中国から提供を受けた鳥インフルエンザウイルスを分析したところ、ウイルスが変異しヒトへ感染しやすいタイプになっていることが判りました。
国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長によれば、現時点ではヒトからヒトへの感染事例は確認されていないものの、上海の感染例の場合は、ヒトからヒトへの感染の可能性もあながち否定しきれないのだそうです。
いずれにせよ、鳥インフルエンザウイルスのヒトからヒトへの感染リスクが急激に高まりつつあるのは間違いないと言っていいでしょう。
その一方で、重症化したインフルエンザの治癒に高い効果をもたらす化学物質の存在が明らかになったという明るいニュースもあります。
この度、秋田大などの研究グループが、アジやサバの脂が含有する不飽和脂肪酸DHA(ドコサヘキサエン酸)の分解によって生成された化学物質には、重症インフルエンザを治癒させる効果のあることを、動物実験を通じて立証したのです。
その化学物質とは、DHAの分解途中で生成されるプロテクチンD1(PD1)です。
秋田大の研究グループは、インフルエンザウイルスに感染させた6匹のマウスに対し、感染の12時間前と直後にPD1を静脈注射しました。
その結果、感染マウスは6匹とも生き残ったのです。
また、呼吸不全を起こし重症インフルエンザ患者と類似した状態に陥ったマウスに、抗ウイルス薬とともにPD1も点滴してみたところ、すべてのマウスがインフルエンザ症状から回復したのだそうです。
PD1には、ウイルスの増殖を抑える作用があることが既に明らかになっています。
ただ、DHAをたくさん摂取すれば、PD1も体内で増えるのかどうかという点については、現時点ではまだはっきりしていません。
今後、DHAとPD1生成に関する解明がさらに進み、重症インフルエンザ患者への特効薬となる新薬の開発につながることが期待されています。
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